「類的人間本質は諸関係の総体である」このテーゼにはマルクスの立場が幾つもの点で端的に現れている。一つには、「本質の外在性」である。一般的には、本質の内在性が問題になるが、マルクスは本質(と哲学が呼ぶもの)は、対象にとって「外的な」、複数の多様な関係性、相互に影響しあい一定の構造を成しながら運動する生きた関係であると把握した。本質が外部にあるがゆえに、本質を求める実践が外部への働きかけ=関係、労働となる事も意味する。また、この総体の概念はヘーゲル由来の構造概念である。