ある対象は様々な性質の集合体だと考えられるが、どんな性質がどんな風に関係しあって対象が出来ているかは、分析と綜合の課題であり、初めからは知られていない。ある対象について語る、とは、その構成を語ること、現実にそれが構成要素であるものによって対象を展開し、読者の意識において再構成させる事である。私は私について語る時、私を私たらしめているあらゆるものを用いて語る。だが、私の中にないもので私を語るならば、それは比喩にしかならない。